2012年12月21日金曜日

<楽器>のしくみを学んでみませんか?

ときに俳優は自分自身の心とからだを<楽器>と呼びます。

「わたしはそう呼ばない」という人もいるかもしれません。
わたしも知ってはいるものの
俳優仲間の間ではあまり使わないようにしてました。

もともとは、リアリズム演技の仲間から学んだ表現で
若い頃はこういう言葉遣いするのが
格好いいと思ってわざと使ってましたが(笑)
やっぱりなんかちょっと気取ってる感じがして
ましてや「あの子は楽器がいい」とか
「あいつは楽器が閉じてる」とか
そういう評価するような表現で使われることがほとんどで
あまり気持ちが良くなかったので
近ごろはこの表現を避けてました。

でも、俳優ではない人に
「俳優はこの自分自身丸ごとが楽器なんですよ」
なんて話をすると、大変感心してもらい
「そうですよね、大変ですね」と共感しもらうことが多く
俳優という生き方、演技という表現を理解してもらうには
たいへん都合の良いことばでもありました。

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役の行動をし、ことば(セリフ)を話し、
表情や声や振る舞いでさまざまな感情を表現することで
役の人生を演じる…
たしかに、わたしたち俳優にとって
この心とからだは<楽器>です。

それも、値段がつけられない
そして、神秘に満ちた
ひきこなすにはそれはそれはやっかいなシロモノです。

みなさんはこのご自分の<楽器>のことをどれだけご存知でしょうか?

演技レッスンや積み上げた経験などで
「演技法」はそれなりに知っていたとしても
その<楽器>の仕組み(しくみ)はどれだけご存知でしょうか?


バランスの良い食事や十分な睡眠をとり
心地好い音楽や、心優しい香りや、肌触りのよい服を身に纏い
必要なボディワークや時には有効な施術を受け
いつもケアを怠らずに、<楽器>を大切にするようにしていたとしても
ご自分という<楽器>の使い方(つかいかた)は
どれだけ繊細に心がけていらっしゃるでしょうか?


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ボディマッピングという分野があります。
文字通り「からだの地図づくり」をする学習です。
からだの各部分の大きさ、構造、機能を正確に認識することは
自分を使うことの大きな助けとなるのです。

すぐれたパフォーマーやアスリートは
このマッピングのズレが少ないと言われています。

ボディマッピングは厳密にはアレクサンダーテクニックではないですが
アレクサンダーテクニックの学びを大いに助けてくれます。
(・・・イコールわたしたちの演技をも助けてくれます)

 わたしが学ぶBody Chanceスタジオでも
骨格や骨格筋とそのうごきを学ぶ、
いわば基礎的な解剖学を学ぶ時間がたっぷりと用意されています。
これはこのスタジオでアレクサンダー教師の資格を取るためには必修の課目です。

でも・・・

そもそも、解剖学・・・かいぼうがく!などに興味のない方には
アレクサンダーテクニックを学ぼうとした途端に
「なんとかコツが」とか「なんとかキンが」とかいう話になって
まったくアタマが受け付けない???なんてこともあるかもしれません。

しかし、現実として
俳優であるわたしたちの<楽器>は<人体>なわけでして
(もちろん<からだ>だけが<楽器>ではありませんが・・・)
まずはこれを機能的に有効にうごかしていこうと望むのであれば
そのしくみを学ぶことは大いに意味のあることなのです。

わたしも最初は面食らいました。
三十代に舞台『毛皮のマリー』で半裸の役をやった際
筋トレをモキモキやってた時期もあったので
いくつかの筋肉の名前くらいは知ってはいましたが
下手な勉強の仕方をすると暗記だけになってしまい
とっても退屈でつまらないことになってしまうので
二年かけてゆっくりと骨や筋肉の名前やそのうごきを覚えてきました。
正直、今も怪しいところはたくさんあります。

でも、俳優の皆さんは解剖学・・・かいぼうがく!を
びっちりやる必要はないでしょう。
ただし、演技の妨げにならない程度の
最低限の<楽器>のしくみは覚えておく必要はあるでしょう。


しかも筋感覚などとともに
自分のからだで認識することができると
ひじょーーーーに演技がしやすくなります。

そういう意味ではこれもアレクサンダー教師とともに学習するのが
もっとも効率的な学習法でしょう。
でも、大まかに
特にわたしの俳優としての個人的な経験と観点から
これだけは押さえておきたい、という...俳優の<楽器>のしくみ...を
来年からちょこちょことご紹介していきたいとおもいます。

これミスマッピングしてるといくら稽古しても意味ないよとか
これ知ってるだけでチョー楽に演技できるよみたいな
わたしも改めて学びながら、もっと早くから知っていれば、と
思ったものはたくさんあります。

そして、それがからだの痛みや異和感を取り除く助けになるだけでなく
演技そのものを助けることになっていくことに気づいた時は
正直なところ、大変驚きました。

これはわたし自身の復習でもあり再確認の作業でもあります。
そして、極力ことばだけで伝えられないかなあとも考えております。

絵や写真があれば手っ取り早いこともあるでしょう、確かに・・・
その辺は追い追い考えてみます。

では、また。

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