2014年1月13日月曜日

「俳優のためのアレクサンダーテクニック」イントロダクション

アレクサンダー・テクニックの創始者であるフレデリック・マサイアス・アレクサンダーはわたしたちと同じ演じる人でした。

19世紀後半からオーストラリアで活躍した俳優で、おもに舞台で、シェークスピアの劇を一人で何役も演じ聞かせる朗唱という表現形態を専門にしていました。

彼は朗唱家として名声を得て、成功していたようです。

そのアレクサンダーが、ある日まったく声が出なくなるという事態に見舞われました。

俳優にとって声は最重要ツールと言えます。

ましてや、朗唱という表現形態において、声が思うように出せなくなるという状況は致命的と言えるかもしれません。

アレクサンダーは何とかしようと医者やボイストレーナーに助けを求めましたが、残念ながら思うような効果は得られませんでした。

とうとう時に全く声が出なくなるまでになってしまったアレクサンダーは、人に頼ることをやめて、この事態を引き起こした原因を自分自身で突き止める決心をしました。

彼は、ひとり、探求の旅を始めたのです。

彼は自分の部屋に鏡を起き、自分のしていることの観察を始めました。

何年もかけて、あまたの実験と考察を繰り返したのち、アレクサンダーはついに自分の声のトラブルの原因とその改善策を見出しました。

そして彼は再び舞台の上で喝采を浴びることとなったのです。

その後、アレクサンダーは、彼の探求の過程で発見した「一つの事実」がたくさんの人の助けとなることを確信し、これを人々に伝えていく活動を始めました。

これがまさに、私たちがこれから学ぼうとしているアレクサンダー・テクニックの始まりです。

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その事実とはこのようなものです。

「頭と脊椎の関係性が人間の行動の質を決定づける」
「頭と脊椎の関係性が私たちのすべての行動の質を決定づけてしまう」

すなわち、私たち俳優にとっては、 「頭と脊椎の関係性が私たちの演技表現の質を決定づける」 ということになります。

でも、 「頭」と「脊椎」と「関係性」…? これって何なんでしょう?!

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さてみなさん、「頭」です。

皆さん頭をお持ちだと思いますが、どこにあるかはご存知ですか?

頭は私たちの一番上にいつもあります。

面白いことに横になってても逆立ちをしても、頭はいつも私たちの一番上にあると感じられるのです。

次に「脊椎」です。 私たちは脊椎動物ですから、これまたどなたもお持ちでしょう。

脊椎の一番上は頭と関節しています。

AO関節と言われるこの関節を触ることはできませんが、これは大体耳たぶの後ろくらいの高さにあります。

脊椎は椎骨が重なって形作られていて、一番下は尾骨と言われ大体お尻の穴辺りまであります。

すなわち、脊椎は大体耳の穴からお尻の穴までの長さがあるということになります。

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では、この「頭」と「脊椎」がどのような「関係性」にあるのが望ましいのでしょうか。

それはこのようなものです。

「頭の動きに脊椎がついてくる」
「頭が動いて、その動きに脊椎がついていく」

脊椎は二十数個の椎骨で形成されていますので、この脊椎は頭の動きに「順々に」そして、それはとても早いので「ほぼ同時に」ついていきます。

「頭の動きに、脊椎が順々にそしてほぼ同時についていく」 この「関係性」が望ましいのです。

ここまでは、よろしいですか?

その上で… 頭と脊椎以外のほとんどの骨は脊椎と直接または間接的につながっています。

また、すべての筋肉はこれらの骨に何らかの形でつながっていて、すべての内臓器は脊椎と繋がり脊椎からぶら下がっております。

…ということは 先の、「頭と脊椎の関係性」を発展させて、こう言うことができるのです。

「頭の動きに、残りの私のすべてがついてくる」
「私の一番上にある頭が動いて、その動きに私のすべてがついてくる」
「頭が動いて、私のすべてがついていく」 ということです。

※例えば、下顎などは脊椎と直接は関節していませんが 頭と関節してますし、変な言い方ですが頭を介して脊椎とつながっている、ということもできますね。

さあ、とりあえずここまではご理解いただけたでしょうか? と言いますか、アレクサンダー・テクニックを「実践する」に当たっては、知っておくべき最低限のことは以上です。

さあ、じゃあ、こんだけなんですからあとはとにかくやってみましょう!

まずは、実践してみましょう!

あなたの演技にこれを取り入れてみましょう。

あなたのセリフに
あなたのそのアクションに
あなたのその振る舞いに
その発声に
そのウォームアップに
その一歩に
その一息に…
「頭の動きに、私のすべてがついていく」

知ることはこれだけです。

あとはやるだけで、あなたの演技に協調作用が働きとってもいい感じに変わるのです!

それでは、五分の休憩の後、実践的なレッスンに入ります。

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