2013年6月26日水曜日

<俳アレ>レッスン体験記・・・アセスメント編

わたしの通うボディチャンススタジオのアレクサンダー教師育成システムにおいて
最終段階へ行くための「アセスメント」と言われる一種のレッスン実演試験があります。
先だって、ようやっとその試験を受けることができ、お陰様でパスすることができました。
この時点ではまだアレクサンダー教師の免許は頂けないのですが
スタジオのご指導のもとスタジオ外の一般の方にも
アレクサンダー・テクニックを教えることは一応許されることとなりました。
いわゆる「仮免許」みたいなものです。
これから「教育実習」のような実習トレーニングを積むこととなるのですが
わたしとしてはこれと同時に現在ご縁を頂いている二つの演技レッスンスタジオで
これまでの演技レッスンに加えて
<俳優のためのアレクサンダーテクニック>を提供していこうと考えています。

二つのスタジオはどちらもグループレッスン形式で演技を学ぶところですが
先の「アセスメント」では個人レッスンとして
俳優の後輩である島本将司くんに協力してもらいセッションをしました。
島本くんはわたしも出演した2009年の美輪明宏主演舞台『毛皮のマリー』で俳優デビューをしました。
そのご縁で舞台終了後も俳優活動をしながら、わたしが講師を勤める
Actor's Rings SYMBIONという演技スタジオにも通ってくれています。
アレクサンダー・テクニックを全く知らなかったわけではないようですが
このテクニックに関してはほぼ初心者(体験レッスンは俳優になる前に受けていたとか)で
また、わたしの演技レッスン自体もここしばらく受けていなかったので
このアセスメントが久しぶりの再会レッスンとなりました。

実際のところ30分にも満たない時間でのブリーフレッスンでしたが
短い基本概念の説明の後、アクティビティに
最近お稽古していたと言うシェイクスピア「マクベス」のモノローグを持ち込み
(きっと創始者のFMアレクサンダーさんも唱った台詞なんだろうなあと思いますw)
それにアレクサンダー・テクニックを使ってみる実験をしてくれました。
以下は、そのわたしのアセスメントレッスンを受けた後に
島本くんがわたしの質問に答える形で寄せてくれたコメントです。
大変興味深いものなので、<俳優のためのアレクサンダーテクニック>というテーマに
ご興味のある方々にシェアーしたいと思います。

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⑴倉持のアレクサンダー・テクニック(以下AT)のレッスンを受ける前にこのテクニックに関してどれ位知ってましたか。知っていた場合、ATはどのようなものだと思ってましたか?

頭に脊椎(身体)がついて来る、それによって動きがスムースになり無理な動きや身体の緊張がとれる。
また、僕の先入観として身体の動きは良くなるが、演技に取り入れた場合、ATをやることに意識が行き過ぎて演技に集中出来ないのでは?という考えがありました。

⑵レッスンを受けて、これまで知らなかった、またはへー!と驚いたことがあればあげてください。

AO関節の位置がこれまでより具体的になり、より頭と脊椎を意識しやすくなりました。
実際に演技に取り入れたのは今回が初めてで、身体の使い方というよりは意識の使い方を学んだ気がします。ATに対する印象が変わりました。

⑶レッスンのなかで、どのようなことにATを試してみましたか。また、なぜそれを試してみようと思ったのですか。

以前やった、演技のシーンを試しました。自分で嘘くさい演技しかできなかったシーンなのでATでどう変わるか試してみました。

⑷実際にATを演技に使ってみてどうでしたか。どのような効果、変化を実感、体験しましたか?

ひとつは、演技にATを取り入れると、演技している自分または役が考えていることの他に客観的にそれらを見ている?自分がいて、これは演技でテンパっている時などにATを使えば改善できるのではないかと思いました。
二つ目は、モーメントが変わった事です。今まではモーメントを作っていましたが、ATを取り入れるとモーメントに入っていくという感覚がありスムースで自然で自分でもこれは何なんだ?という驚きがありました。
そしてもう一つ、声が格段に良くなりました。

(参考:島本くんが「モーメント」とここで言うのは、役の意識が切り替わる瞬間...演技の<折れる>ところ...フレーズの変わり目、のような意味とわたしは解釈します)

⑸ATを試してみて、俳優としてこのテクニックに対する興味は増しましたか。増した場合は今後俳優の活動のどのようなことに使ってみたいと思いましたか?

今回のレッスンでATが演技を助けることを実感しました。演技のテクニックのひとつとして使えると思います。役づくりなどでも試したりして、演技に取り入れられるものを色々探ってみたいなと思います。

⑹演技レッスンにおける倉持とATレッスンにおける倉持とを比較して雰囲気や指導法について倉持の印象の違いがあればお話しください。また要望があればお話ください。

演技のテクニックに触れるより、身体の使い方を指導されていました。でも、僕は雰囲気や印象の違いを受けることは特になかったように思います。
「僕の演技」に効果的に使えるATのテクニックを研究または発見していけたらイイなと思います。

⑺倉持のATレッスンを一度だけ受けた現時点で、何か島本くんに生まれる疑問や不安、またはこの先への希望や期待はありますか。

レッスンが終わったあと一人で試してみました。するとサポート無しではサポート有りより上手くいかなかったので、一人でも十分機能するようにATの使い方を習いたいなと思います。

⑻その他、思い浮かんだ感想をご自由にお書きください。

以前レッスンを受けた時はまだ役者を始める前で何に使えるのかわかりませんでしたが、今回、改めてレッスンを受けて演技が変わったので良かったと思います。
ATは自分の中で「演技と自分の潤滑油」のような印象を受けました。演技中に自分でも気づかない内に無理をしていたり(それが良いと思っていたり)するのが、スッと通り?が良くなる感覚がありました。

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わたしが一番驚いて、同時に嬉しかったのが質問⑵の答えにある
「身体の使い方というよりは意識の使い方を学んだ気がします。」という島本くんの感想です。
わたし自身がこのテクニックをボディーワークではなくシンキングワークとして捉えていることもあるのですが
実際には彼も言っている通りわたしは演技中の身体の使い方をレッスンしていたにもかかわらず
そのレッスンを受けた島本くんが「意識の使い方」として受けとってくれた点が大変興味深いと思いました。

今後、<俳優のためのアレクサンダーテクニック>は
わたしのアレクサンダー教師としての活動におけるメインテーマになることは間違いありません。
本来の「アレクサンダー・テクニック」と何が違うのかとあえて自分に問うてみれば
もちろんその概念はなにひとつ変わりはないのですが
「俳優が演技の真っ最中に演技を助けるものとして、いつでもどんな種類の演技にも意識的に使うことができるアレクサンダー・テクニック」
が<俳優のためのアレクサンダーテクニック>だと言えるでしょう。
これは数あるアレクサンダー・テクニックの使い方のうちの一つでしかありませんが
その俳優が「どんな場面で、どんなモーメントでATを使うか」を考えて試していくこと自体が
演技と同じように、創造的...クリエイティブな作業になったらいいなあと思っています。

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