2013年6月13日木曜日

ツバメとモレスキンから・・・1

これはメルマガ「俳優のためのアレクサンダーテクニック」だけのコラムからの転載です。
必要性を感じたので、幾つかブログにも後追いで載せていくことにします。

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2013年5月26日号より

発行者倉持一裕がアレクサンダー・テクニックのレッスン
(@Body Chanceスタジオ)でツバメノート二冊と
モレスキン二冊に記した無数のメモから
毎回一言ずつ選びご紹介するコーナーです。今日は・・・

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feeling tequniqueではなく
doingテクニーク
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これは間違いなくキャシー・マデン先生のレッスンメモでしょう。
近いページに「ネコネコ」と書いてあるので一昨年だと思います。
キャシー先生は「頭が動いて私のすべてがそれについていくことを自分にお願いする」という意味の動詞を毎年「造語」して
それを使いながらレッスンを展開されます。
ちなみに、一昨年が「ネコネコ」、去年が「モアラ」、今年は「アノシャー」でした。

これはアレクサンダー・テクニックを<実践>するのに大変使い勝手の良いアイデアだと私は思います。

私たち俳優などのパフォーマーは、舞台上という非日常の状況において
自分の機能を全開にして、お稽古を積んできたハイレベルの作業をします。
その際に、そのスキルを最大限に発揮するために、自らの協調作用をできるだけ良いものにしたい、と望みます。
その望みに応えてくれるのがアレクサンダー・テクニックです。

それで多くのパフォーマーはアレクサンダーを学び、使おうとするのですが
俳優はアクターと英語で言われるとおり、行動…すなわちアクションをするのが仕事ですから
いちいち自分の協調作用がうまく行っているかな?などと
演技中…アクションの最中にフィーリングを探りに行ったり、チェックしたりする訳には行かないのです。
そんなことをしたら演技は途切れ、カメラならモロバレ、舞台でもあっという間にお客さんは離れていきます。

もちろん、準備の段階やそれ以前のオフタイムに自分という楽器を<調整する方法>はたくさんあるでしょう。
私もアレクサンダーを学ぶ前から、自分を調整する(協調作用を整える)ことがどれだけパフォーマンスに影響するかを嫌という程感じてましたので
俳優として、それはそれは多種多様なアプローチを試みてきました。

(例えば、ヨガや瞑想、水泳やジョギング、マッサージや整体、各種の体操やボディワーク、カウンセリングやコーチング、写経やパワースポット巡りまで…w)

その中で、素晴らしいものもたくさんありましたが、どれも本番の演技に実際に持ち込めるものではなく
あくまでも「準備」のためのものでしかありませんでした。
でも、<演技とともに出来、まさに本番中に>協調作用をもたらし、演技を滞らせるどころか、それを後押ししてくれたのがアレクサンダー・テクニックだったのです。

その一つの理由は、冒頭にあるようにアレクサンダー・テクニックは
フィーリングのテクニックではなく、「するテクニック」だからなんだと私は思います。
それもお稽古を積んだ特別なスキルをしながら「同時に」かつ「間接的に」好影響をもたらす。
だから、そういう意味でも<演技>(同じように他のパフォーマンス)とは相性が良いのだと思います。

これを、ある心地の良い感覚をもたらしてくれるものと誤解をしてしまうと
他の多種多様な「心地よくなる」テクニックとなんら代わりがなくなりますし
「心地よさ」だけでしたら
何にも考えずに寝転んでるだけで心身を楽にしてくれる技や
何となくその時だけ気分が高揚して積極的になれたり
反対に心が静まり穏やかな心持ちになったり
自分の動きがスムーズになったような感じになったりする技などのほうが
よっぽどマシなのではないかと、正直私は思います。

で、わたし的にはアレクサンダー・テクニックをどう使いたいかというと
この「するテクニック」を、今年ならば「アノシャー」という動詞で一言で表し
それを徹底的にお稽古の過程からアクション…すなわち演技に添えて練習することで
俳優がする演技…すなわち演技プランである<行動>にくっつけていくことで
一瞬にして自分に「協調作用つきのアクション」をする指令を送れるというわけです。
お稽古から使えますし、もちろん本番でも使えます。

…あまりにも簡単に説明だけをしてしまってますが…実験はぜひレッスンとともに。m(_ _)m
(わたしの俳優向けグループレッスンのスケジュールはサイドバーをご参照ください。)

もし、アレクサンダーテクニックが
「リラックスのためのテクニックである」とか
「何もしないで、穏やかになるためのテクニックである」と理解していたら
そして、まさか「正しい姿勢を学ぶテクニックである」と思っていたなら
全く演技に、演技の最中にこれをこのように使うことはできないでしょう。

キャシー先生は、俳優でもあり、演技教師としても大変なキャリアをお持ちで
プロの俳優のトレーニングに、如何にアレクサンダーテクニックを使うかを相当に研究されていくなかで
この「動詞」を「造語」して、アクション…すなわち「演技」に「接頭」することで
高度なパフォーマンスの真っ最中にも俳優に協調作用をもたらすことができるアイデアを開発されたのです。

私はこの「独特な」アレクサンダー・テクニックの教え方を今後も探求していくつもりです。
正直、人によっては「よくわからない」という声もなくはないようですが
少なくとも「俳優のためのアレクサンダーテクニック」の範囲内では、最高に実践的なアプローチだと
自分自身は確信してますのでどんどん推し進めたいと考えます。

そしてもちろん、このアプローチが合わない人がいたら…教え方を変えていけばいいだけのことです。

実は、それができるのもアレクサンダー・テクニックの魅力の一つでもあるのです…。

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