2014年2月25日火曜日

実はATを俳優に一番オススメしたい場面

アレクサンダーテクニックを俳優さんがたにご紹介やご提供をするにあたって
その活用法もたびたび考えます。
すでにこのブログでもたくさんの活用法、活用できるシーンをご紹介してきました。

レッスンを受けられる俳優さんが自ら
ここで決めたい!ここが勝負どころ!
と思われる場面で使っていただくのが一番よろしく
それ自体がその俳優さんの「創造性」の見せどころだとはいつも思うのですが

じゃあその上で
私が個人的に最もオススメするシチュエーションはどんな時だろう?…と考えました。
特に若い俳優さんがたから
どんな時に役に立ちますか?と尋ねられたら何と答えてあげようか、と。

私自身が俳優でありアレクサンダー教師である
そのような立場と視点から、俳優が最も不必要に固まりやすく
それがそのまま演技に影響を与えてしまうと思われる場面…。

それは、

演出家さんまたは監督さんから「演出」を受けている時です。

高圧的な振る舞いで演出する方は言うまでもなく
十分に敬意を払いながら演出してくださる方々も含め
「演出」を受けている時に
俳優はかなり高い割合で自分自身を押し下げ
身体のいろいろな部分を不必要に固めているのを観察できます。

その「演出」がいわゆる「ダメ出し」だったりすると余計です。
そして
その「足りないところ」を部分的にだけ改善しようと俳優が試みると
これまた高い割合でパフォーマンスは…落ちます。

誰が偉いか、歳が上か、キャリアがあるか、有名か…などなど
それは日本で活動する上では他者との関係において避けられない情報かもしれません。
たとえこれらを「くだらない」と思う方でも、やはり基本的な「礼」は欠かせないでしょう。

ただ、そのように「礼」を尽くしたい関係においてであっても
あなたが身を固めたり、頭を押し下げたりする必要はありません。
それとこれとを無意識に混同してしまっている俳優さんは少なくありません。

演出家や監督は観客の視点で作品全体を見るのが仕事です。
すなわち、彼らは観客の代表なのです。
彼らの前でどう振る舞うかは
そのまま観客の前でどう振る舞うかと同じことになるのです。

お分かりでしょうが、
身をすくめないということは、虚勢を張るということでもありません。
胸や顎を突き出すことは同時に後ろ側で背中や首を狭め固めることになりますから。

ハッタリで演じることもこれまた大変むなしいものです。
俳優は同じ芸術を創り上げるディレクターと
良好な交流を持ちながら
創造的な作業をいつもしていたいものです。


あなたは俳優として観客の前でどう振る舞いたいですか。
それをまず、演出家や監督の前でも実践してみましょう。

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