2017年8月10日木曜日

本番直前!あなたは何をしますか?



俳優の仕事場は数々ありますが
例えば「撮影現場」だとしましょう。

本番直前・・・

衣装、OK。
ヘアメイク、完璧。
マイク、然るべきところにちゃんと付いてる。

そもそも、これらは技術スタッフさんが
プロの術で仕上げて、チェックしてくれてます。
信頼してお任せすれば良いことですね。

手持ちの小道具…
これは自分で確認しないといけません。
あなたが刑事さんで殺人現場のシーンなら手袋はしてますか?
これ忘れたら撮り直しです。

台詞は入ってます。
これでどうこう言ってたら仕事にはなりません。
行動線(どうせん)も大丈夫。
リハで確認済みです。
カメラがどう動くかも分かっています。

多少踏み込みましょう。

前提状況はどうでしょう?
この前に何が起こって、役は何を意図してるか。
これも…プロの俳優さんにいちいち問うことではありませんね。
台本は何度も読んでるし、リハも重ねてきています。

リラックスは必要でしょうか?
これは意見が分かれるかもしれませんね。
わたし的には本気の「本番」を前に「リラックス」というのは不可解です。
リラックスはオフタイムにしたいと思います。

テンションをあげる?
でも、本番を前にテンションあがらない役者はいないでしょう。
どんな類いのシーンだろうが、役者はアドレナリン全開です。
わざわざテンションをあげる必要はありません。
今あるその興奮の波に乗ればいいだけです。

ウォームアップ…。
これは確かに必要ですね!
ぜひとも念入りにしたいものです。
でも、今は本番直前です。
ウォームアップは楽屋で、する人は現場に入る前からしていて
…もしかしたら、朝目覚めた時点から始めてましたか?…
いずれにしても準備万端なはずです。


どれもすでに準備されてて当然か、または無用なものばかり…


じゃあ、本番直前…
「アクション!」直前に役者は何をすればいいのでしょう。

何も考えない。
何もしない。
無になる。。。

いかにも…!
そうかもしれません。
わたしもなれたらいいなあと思うときもあります。
できるものならやりたいです。

が、しかし
これは現実的には不可能なことです。
そして、不可能なことを無理にやろうとすると
パフォーマンスは大抵落ちます。

また、これまでの自分の経験と他者の観察から
俳優は「すること」がないと緊張し始めます。
考えなくていいことを考え始めたり
やらなくていい余計なことをしだしたりします。

よって
何もしない…もボツです。

俳優はアクターすなわち<行動する人>ですから
そもそも「何もしない」のは仕事放棄です。
俳優には、いつもなにか「すること」が必要なのです。
もちろん、その状況に必要で的確な、何か…「すること」…

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わたしたちは役者としての仕事を全うするために
明確な意図を持ってシーンに飛び込んでいかなくてはなりません。
ハッキリと意識的に
五感全開でリハーサルを重ねたアクションを遂行していくのです。

行き当たりばったり、めくらめっぽう、成り行き任せでは
「演技」という仕事はできません。

すべての準備が整ったうえで
わたしが役者さんに勧める意識的にすること
それは
自分を<調律する>ことです。

役者は自分自身が楽器です。

もちろん楽屋で待機してる時や
ケータリングのパイプ椅子で出番待ちをしてる時に
ウォームアップと共に調律はしていたかもしれませんが
いざ、自分という楽器を演奏する時に、いざ本番!というその直前に
自分という楽器を今一度調律できるならしたいものです。

楽器を演奏する人は必ず演奏直前にチューニングしますよね。
それは確かにリハの時に調律してあるし
その後、しかるべき環境で一切使うことがなければ
滅多なことでは調律は狂わないでしょう。
それでも、やはり演奏直前にチェックはされるようですが…。

でも、役者は残念ながらこのようにはいきません。

ひとたび調律をしても、ただじっと「置いておく」という訳にはいかないのです。
本当にいろいろやることがあります。
突然監督さんからの新たな指示が出るかもしれません。
スタッフさんが「直し」にあなたのところに来るかもしれません。
カメラさんから立ち位置を少しずらすよう言われるかもしれません。

共演者から話しかけられるかもしれません。
無駄話なら聞こえないふりもありかもしれませんが
もし、看板スターさんから話しかけられたら無視はできないでしょう。
もしかしたら、演技に関する大切な確認作業かもしれません。

さて…

俳優は、自分自身が楽器そのものである以上
どうしても、いつもその楽器で
演技以外のこともしなくてはならないのです。
これは俳優の宿命です。
このドラマのラストシーンを知っているのに知っててはいけない…
のと同じくらい、俳優が背負った大きな宿命…。

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ここでお役に立てるのが
俳優のためのアレクサンダーテクニック…俳アレです。

俳アレは一瞬にして俳優の楽器を調律します。
具体的には、俳優に<協調作用>をもたらしてくれるのです。
すなわち俳優自身のすべてが協力仕合い、調整されて
過度に働いたり、逆に怠けたり、忘れられてたりするものがなく
能力総動員で「演技」に参加してくれるのです。

脊椎の上で自由に動ける頭に、自分のすべてがついてくることを自分にお願いすることで
俳優のプライマリーコントロール(初源的協調作用)が機能しはじめます。

そうすることで…

演技に不必要な俳優の心身の緊張が解きほぐれていきます。
演技に必要な集中力を俳優にもたらします。
演技に必要な十分な呼吸を俳優にもたらします。
演技を助ける拡大された気づきを俳優にもたらします。
演技に必要な広い視界や聴覚を始めとした研ぎ澄まされた五感を俳優にもたらします。
俳優の身体も思考も精神も、その全てを直後に控える演技に向かわせ参加させます。
演技に必要な俳優に潜在する全能力、全機能を引き出します。

そして、
演技直前…本番直前だけでなく
その演技中における俳アレの使い方を練習しておけば
演技の最中にも一瞬にして俳優の楽器を調律することができます。

それも、演技を止めたり、シチュエーションから離脱したりすることなく
役を生きたまま、演技を続けながら
楽器を調律することができるのです。

そうすることでいつも明確な意図を持ってシーンを演じ続けることができます。
ハッキリと意識的に、五感全開で
リハーサルを重ねたアクションを遂行していくことができるようになるのです。

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まさに今
これから本番の演技をしようという俳優に必要なのは
<自分を調律するスキル>です。
それをもっともシンプルに、もっとも強力に手伝ってくれるのが
俳アレ・・・俳優のためのアレクサンダーテクニックです。

この好い事だらけのテクニック…
いざという時のために、普段から練習しておきませんか?













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