2013年4月16日火曜日

プライマリーコントロール その6 ひとまず最終回

アレクサンダーテクニックのレッスンでは
教師のサポートを得ながら
頭と脊椎の関係がバランスよく取れた状態を体験することができます。
これをAT用語で「プライマリーコントロール(初源的協調作用)」と言います。

これはあなたの俳優としての天賦の才能と言い換えることもできるでしょう。
もちろん、これ自体がわたしたちの演技ではありません。
これは演技のために準備されるべき
そして演技の最中もありつづけるべき俳優の天才です。
わたしたちは
この<自分の天才>を使ってそれぞれ、その時々に望むような演技をするのです。

もし、演技の最中も
あなたの頭があなたの脊椎のうえでバランスよくうごくことができるならば
あなたの演技の質はよりよい方向へどんどん変化していくでしょう。

あなたのうごきはスムーズになり
あなたはドラマの状況のなかでらくに存在できるようになるでしょう。

呼吸もらくになり声の響きも良くなりセリフ回しも滑りがよくなるでしょう。

表情も感情も無理矢理作ろうとすることなくとも、自然に溢れ出ることでしょう。

共演者やスタッフ、舞台ならば観客も含めたなかにいる
自分自身の存在をよりハッキリと感じとることができるでしょう。

この頭と脊椎のバランスのとれたあなた自身の使い方が
演技の最中も続けることができるならば・・・。

頭が(脊椎の上で)自由にうごくことができる

たったこれだけ?

はい。

・・・それでいて、一番大切なことなんです。

++  ++  ++  ++

たしかにこのような夢のような状態へ一人で行けるためには
それ相応の練習は必要です。

でもこれは間違いなく
そこへいける可能性のある具体的な手段です。

縁起担ぎでもなく、精神論ではもちろんなく
演技の女神が微笑んだとか
まぐれでゾーンに入ったとかでもありません。

練習さえすればそこへたどり着ける術
練習によって獲得しうる術、それがアレクサンダー・テクニックなのです。

もし、プライマリーコントロールがうまく働かないとしたら
それはわたしたちが本来持っているその自然な機能に
なんらかの干渉をしているということです。

そしてこの<干渉>をあえてからだの視点からお話するのであれば
頭を固定している(うごけなくしている)ということであり
頭を脊椎に対して後ろへ下へ押し下げていることであり
首を固くしていることであり
背中を短く縮め、幅狭くしていることなのです。

そして悲しいことに
その程度の差こそあれ
ほとんどすべての大人はこれをやっています。
ここぞという時にほとんどすべての俳優はこれをしてしまいます。

アレクサンダーテクニックは
この望まない私たちの習慣的傾向に対して建設的に対処していく術なのです。

++  ++  ++  ++

まずは
アレクサンダー教師の助けを得て
このプライマリーコントロールを体験してみましょう。
頭が脊椎の上でバランスよく動ける自分を体験してみましょう。

この素晴らしい自分の<天才状態>を何度も何度も体験してみましょう。

何度も経験していくことで、まもなくあなたは
それを自分で出来るようになりたいと思いはじめることでしょう。

それはあまりに素晴らしいので、そのための努力をすることは
たぶん、あなたはなにも苦にならないでしょう。

そして、いずれあなたはそのコツを身につけ
あなたにとって大切な俳優としての活動、演技の瞬間に
「使いたい」と思ったときにはいつでも、自分ひとりで
アレクサンダー・テクニックを使うことができるようになるでしょう。

演技の女神様に神頼みをするかわりに
自分自身に確かで具体的なお願いをすることができるようになるでしょう。

そして・・・

あなたは着実に望みに近づいていくことになるのです。

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