2013年3月10日日曜日

プライマリーコントロール・・・4 (脊椎について)


今日は脊椎のお話です。

脊椎は五種類に別れます。
首の骨の頚椎が七つ
胸の骨の胸椎が十二
腰の骨の腰椎が五つ
そして骨盤の仲間にも含まれる
仙骨(大人は一つに)と尾骨(人により三つから六つ)です。
それぞれに形や大きさが異なり、動きにも特徴があります。

・・・

とまあ、ここまで書いて
わたしが想像するに・・・
読まれる人の八割近くの人が
多かれ少なかれ「引いていく」のではないでしょうか。

漢字が多い!
数字が多い!

・・・ですよね。

たとえ、「首の骨はキリンも同じ七つなんですよ」とやったとしても
一瞬はヘェ~の一つや二つもらえるかもしれませんが
すぐに「それがどうだというんだ」と、ましてや
「俳優の演技にそれがどうだというんだ」と言うことになるでしょう。

俳優は退屈なものことが嫌いです。
そういうものです。
そうであっていいんです。
・・・小さな子どもでいいんです。

++    ++    ++    ++

ですから
今回もシンプルに
脊椎に関して俳優の演技を大いに助けるポイントを
三つだけご紹介いたします。

その一つ目が、その数なんですが。
なんと!…

「脊椎は一つ(一本)ではありません」

はい。

今回も再び突っ込んでくれたかたは
心優しい…のか、実は博識か…

これ結構、一本だと思っている人少なくないみたいです。
まあ、最初に言っちゃってますが。

「背骨」という言い方が日本語にあるのも
もしかしたら一本のイメージをもたらすのかもしれません。

からだの「軸」をぶれさせないで…みたいに
木や鉄で出来た「棒」のようなものを
イメージする人もいるかもしれません。
でも…、

「脊椎は一つ(一本)ではありません」

飛行機の機体と大都市を走る電車をイメージしてみてください。
飛行機の機体は一つです、バラバラになったら一大事です。
例えば山手線のような電車は、幾つかの車両が連接して連なっています。
その構造で考えると、脊椎は飛行機ではなく電車なのです。

仙骨一つと、尾骨もまとめて一つと見たとしても
26個の骨が連なって脊椎は出来あがっています。

それが、ヒトが立った場合は横ではなく縦に連なり
その上に前回お話した頭が乗るといったことになるわけです。

わたしは巨大な気球(頭)に電車(26の車両)がぶら下がっているのを思い浮かべます。

みなさんはどんなイメージを持たれますか?

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そして、その上で次に確認しておきたいことは

「脊椎は真っ直ぐではなく幾つかのカーブを伴い、これらは頭についていくように動ける」ということです。

これは先ほどの飛行機と電車でお分かりいただけると思います。
幾つかのものが連なれば真っ直ぐになる方が困難です。
ましてや、そのてっぺんには重た~い頭が乗っているわけですから。
微妙にバランスを取り続ける必要があります。

そういうわけで、脊椎は頭の動きについて行くように動いていきます。
違う言い方をすると、頭が動けないと脊椎のうごきは制限を受けます。
ですから、「頭が脊椎の上で自由に動けるように」となるわけです。

その具合は人により異なりますが
基本的に脊椎は幾つかのカーブを伴っています。(横から見た場合)

もともと、生まれたての赤ちゃんの時は丸く
…アルファベットのCみたいに連なっています。
日本人には勾玉の方がいいですかね…ぶっちゃけ「そのもの」ですしw…
この頃は仙骨もまだ五つに別れているようで
本当に団子虫みたいに丸くなります。

余談ですが…
だから産まれたての赤ちゃんは丸く抱いてあげるのがいいのだそうです。
団子虫を開いてしまうように抱いたり
真っ平らな布団に寝かせたりすると苦しいようで
絶対にしてはいけない、と赤ちゃん整体の先生は仰ってました。

確かに、うちの子も機嫌が悪い時に
ちゃんと丸くして(脚はがっせきして)抱いてあげると
間も無く落ち着いてました。
たぶん大人でもからだを丸くすると落ち着くと思います。
さすがに抱っこしてもらうわけにはいかないでしょうがw

その後、首が据わり立ち上がり歩き出すことで
頚椎がCとは反対の方にカーブしだし
腰椎もCとは反対の方にカーブをし始めるのだそうです。(前彎と言います)
そうして
頭をのせた脊椎の、カーブを伴った積み上がりの
この微妙なバランスが
その人全体の動きに大きな影響を及ぼすわけです。

ひとつ興味深いのは
胸椎は基本的には赤ちゃんの時のままに(後彎の)カーブを描いているということです。

猫背という言葉がありますが
胸椎に関してだけ言えばすなわち猫背で良いのです。
少なくとも真っ直ぐでなくていいのです。

逆に「気をつけ!」みたいに
胸椎を真っ直ぐにしようとすることは
胸椎を縮めて固めてしまうことになり
動きが制限されてしまいます。

そして、その胸椎からは肋骨が生えており
その肋骨のなかには呼吸にとって大切な肺がありますから
胸椎を真っ直ぐにしようとすることは肺の動きを制限することにもなり
わたしたち俳優にとって重要なツールである声にも
大変大きな悪影響を及ぼすことになります。

ぜひとも注意したいところですが
かと言って胸椎を丸くしよう、猫背にしようとは考えないでくださいw
これはこれで今度は胸の前面を潰してしまうことになるので
同じように呼吸に悪影響を及ぼします。

すなわち
「胸椎を真っ直ぐにしようとすることをやめる」
だけで良いのです。

この辺はベリー・アレクサンダーテクニックなところです。

++    ++    ++    ++

さあて
わたしは上手にお話できているでしょうか?
例によっていい感じの分量になってきましたので
脊椎に関しての残り一つのポイントは次回に送ります。

本日は

「脊椎は一本ではなく、三十個近い形も大きさも異なる骨が連なっている」

そして

「脊椎は真っ直ぐではなく、幾つかのカーブを持ち、これらが頭の動きについて行くように動ける」

という二つのことをお話ししました。

では、また。

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